社会福祉法人　戸出福祉会

施設長が選んだ『福祉』の世界

タガタメ

阪神淡路大震災のボランティアをきっかけにしてこの「福祉」の世界に飛び込んだ。もちろんそれだけではない。寝たきりの祖父をずっと介護をしてきた大好きな祖母の姿を見てきたこともあるだろう。何にしろ、私がちょうど勤める頃には介護業界は介護保険制度が始まり、数兆円産業になると言われていた。そしてなによりメディアでも取り上げられ「福祉」ということに関心が集まり、この業界全体が活気づき熱を帯びていた。

そしてこの世界に飛び込んだ。新人である私に、お年寄りは様々な事を教えてくれた。立山連峰一つ一つの山の名前、花の名前、そして今まで生きてきた歴史・・・私にとっては、祖父や祖母と同じ、優しく色々なことを教えてくれる大先輩であった。

それから20年が過ぎた。どの業界も人材不足が叫ばれている。介護業界は以前のような活気は感じられない。しかし、「ずっと利用者や家族の伴走者でありたい。」その思いは全く変わらない。

どうだろう？以前よりプロらしくなっただろうか？そんな心を見透かすように時には知識もテクニックも全て吹っ飛ぶようなこともある。「お前、俺の眼をみて言えるのか？」そう言われているような時もある。未熟な私たちの人間力を育ててくれる。「なかなかこんな仕事はないよな」と思う。

だからこそ、この思いを色々な人に伝えたいと思う。今まで育ててくれた感謝の思いを。

そして新しくこの業界に飛び込んでくる人には「やりがいがあるぞ」と。

今日も皆が『人間力』を育ててくれる。

施設長　野村 幸伸